ニュー・オーダー at 新木場スタジオコースト 2016.5.25.


00年代以降のニュー・オーダーは、わりとコンスタントに来日しているから、ごぶさた感はないけれど、単独では29年(!!)ぶりとのこと。VHSで何度も観た東京厚生年金会館のへなちょこ(でも最高!)ライヴ以来。「Pumped Full Of Drugs」ってタイトルもいいね!

今回の新木場スタジオコーストでのライヴは、僕にとっては01年のフジロックと12年のサマーソニックに続いて3回目。その間にもう一回フジ(05年)に出ているけれど、それは観に行けなかった。


フジロック初登場のときは、『Get Ready』にも参加していたスマッシング・パンプキンズのビリーがジリアンの代役という、今となってはあり得ない編成。

Get Ready

Get Ready

メンバーの誰よりもギターとコーラスが上手なビリー。レニみたいな帽子をかぶって、恐縮するように大きな体をすぼめながらプレイしていたっけ。憧れのバンドと共演する緊張感が伝わってくる少し場違いなその姿(笑)は、とても好感が持てた。

「NoがプレイするJD」が日本で初披露されたのも、このライヴから。だからビリーも緊張してたのかな。イアンが亡くなって20年、ようやくNoがJDに向き合い始めた。

これはフジではなくて、2002年のフィンズベリー・パークでの映像。フッキーの雄叫びがアツい!


そして12年のサマーソニックでは、フッキーがすでに離脱していた。結局、バーニー、フッキー、ジリアン、スティーヴンの四人でのニュー・オーダーは、このままだと初来日だけってことになりそう。でも、それは仕方がない。バンドとして活動を続けて、アルバムのリリースやライヴを続けていくことが大事だからね。


90年代にはエレクトロニック、リヴェンジ、アザー・ツーに分裂したり、ファクトリーが消滅したことを思えば、こんなふうに何度もニュー・オーダーとしてのライヴを観ることができるなんて夢みたい! そんなことを考えながら新木場スタジオコーストへ。

フロント・アクトは「この人しかいないでしょ!」っていうくらいパーフェクトな石野卓球さん。Noはもちろん、デペッシュ・モードやペットショップ・ボーイズ、そしてKAGAMIまでをクールにつないでゆく愛にあふれたDJでした。

1時間半くらい卓球さんのDJを満喫したところで、いよいよニュー・オーダーがステージに登場!『Music Complete』の中でもいちばんJDっぽい「Singularity」からライヴはスタート。

2曲目にいきなり飛び出した「Regret」、バーニーのカラオケ状態にアレンジされた「1963」、とぼけたピアニカにキュンとなる「Your Silent Face」、そしてところどころに挟み込まれる新譜からの曲…! あっという間の2時間だった。

僕はスティーヴンのドラムに感動! 打ち込みの音の印象が強いけど、ライヴだとスネアとシンバル系の使い方がめちゃくちゃクールでファンキー。真の主役はスティーヴンかも。カッコよかった!


ニュー・オーダーのライヴはツッコミどころ満載。だからとても楽しいけれど、どこか切ない。それは、バンドの歩みと自分自身のあれこれを素直に重ね合わせることが許される音楽だから。それがニュー・オーダーの素敵なところだと思う。


《Set List》
01. Singularity
02. Regret
03. Academic
04. Crystal
05. Restless
06. 1963
07. Your Silent Face
08. Tutti Frutti
09. People On The High Line
10. Bizarre Love Triangle
11. Waiting For The Sirens' Call
12. Plastic
13. The Perfect Kiss
14. True Faith
15. Temptation
アンコール
16. Blue Monday
17. Love Will Tear Us Apart
18. Superheated