My Best Albums of 2012

突然ですが、2012年のMy Best Albumsのご紹介です!
2013年も残りあと3ヶ月ちょいでのタイミングになってしまいました。年末年始に慌ててセレクトするよりも、何ヶ月/何年経っても大切にできることのほうが大事だと思う。ここに挙げたのは「12年の気分」はもちろん、今でも聴き続けている10枚。そして、これからもそれはずっと変わらないだろうと確信を持って言える。
「ミュージック・シーンの最新」を楽しくチェックしながらも、今の自分に寄り添ってくれる音楽が愛おしい。良くも悪くも音楽の聴き方は、10代の頃から何も変わっていない。そんな感じです。それぞれクッキーシーンでのレヴューをリンクしました。よろしくです!


10.THE ORB featuring LEE SCRATCH PERRY『The Orbserver In The Star House』アレックス・パターソンとリー・ペリーはどんなおしゃべりをしながらこのアルバムを作り上げたのかな? そんな想像も楽しいダブとアンビエント・テクノの幸せな邂逅。ジ・オーブ初期の名曲「Little Fluffy Clouds」へのセルフ・オマージュ「Golden Clouds」とか、クラッシュのカヴァーでおなじみの「Police & Thieves(ポリスとコソ泥)」の超スローなセルフ・カヴァーが聴きどころ。そして、今年は続編の『More Tales From The Orbservatory』もリリースされました。こっちも最高! Cookie Scene


9. DIRTY THREE『Toward The Low Sun』ブリクサ脱退後のニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズで、いまや中心メンバーといえるウォーレン・エリス。彼が率いるオッサン3人組のインスト・バンドによる7年ぶりの新作。言葉はないけれど、どこまでもエモーショナルで様々な情景が思い浮かぶサウンドは映画的。 Cookie Scene


8. PAUL WELLER『Sonik Kicks』「チェンジング・マン」ことポール・ウェラー、「モッド・ファーザー」ことポール師匠。その名のとおり、このアルバムにも新たなインスピレーションがたっぷり注ぎ込まれている。それはなんとニュー・ウェーヴ/クラウト・ロック。12年10月の来日公演は、オール・タイム・ベストなセットリストが最高だった。このアルバムからの曲もしっかり馴染んでいました。ソロになったノエル・ギャラガーが目指しているのは、きっとポール師匠みたいなスタンスなんだろうな。 Cookie Scene


7. PASSION PIT『Gossamer』とにかく12年のサマーソニックでのライヴが感動的だった。カラフルなライティングに照らされて、両手を上げながら踊り歌う会場いっぱいに集まったファンの笑顔。そして、みんなを煽るように飛び跳ねるマイケル・アンジェラコスの姿。それが僕の目に焼き付いている。大きな会場をもしっかり包み込んでしまう多幸感は、コールドプレイにも匹敵する。そんな音楽のマジックがこのアルバムには目一杯詰め込まれている。けれども、拭いきれない切なさや孤独感がリアルに響くのも事実。それは、楽しかったライヴのあとに、ふと胸を締め付ける「あの感じ」にも似ている。Cookie SceneのPASSION PITインタビュー


6. THE VIEW『Cheeky For A Reason』クスリがらみのアレコレで中々、来日公演が決まらないザ・ヴューだけれども、しっかり4枚目のアルバムを完成させてくれた。しかも、今年はデビュー以来7年間の歩みをまとめた(新曲入り)コンピレーション・アルバム『Seven Year Setlist』をリリース。「EPやお気に入りをまとめたライヴのセットリストのようなアルバム」で、決してベスト・アルバムではないとのこと。そんなことはどうでもいい!ってw 来日を願いながら、僕は両方のアルバムを愛聴しています。 Cookie Scene


5. KEN STRINGFELLOW『Danzig In The Moonlight』ポウジーズや再結成ビッグ・スターでおなじみのケンのソロ・アルバム。パワー・ポップというパブリック・イメージをいい意味で裏切るSSWとしての力量が遺憾なく発揮された大名盤です。今年6月に実現した来日公演(ノーマン・ブレイク、ジャド・フェアと共演!!!)も大盛況。サービス精神満点のケンの人柄と彼の豊かなミュージシャンシップで、集まったファンにとっては忘れられないライヴになったはず。…僕は行けなかったんだ。それが今年いちばんの心残り。 Cookie Scene


4. DAVID BYRNE & ST. VINCENT『Love This Giant』最近のデヴィッド・バーンはコラボレーションという手法で、自身の豊かな創作力を刺激されたみたいだ。04年のルーファス・ウェインライト、08年にはイーノとの合作『Everything That Happens Will Happen Today』、そして10年にはファットボーイ・スリムとの『Here Lies Love』と傑作が続いた。全面的に女性アーティストとコラボするのは、今作が初めて。2人の共作やコーラス・ワークなど、男女ならではの優しさとコントラストが素敵! Cookie Scene


3. JACK WHITE『Blunderbuss』このアルバムのコンセプトでもある「二面性」のメタファーを持つと言われているワタリガラスを肩に乗せたジャック。やっぱり名作でございます。12年のフジロックでのライヴを見逃したことを激しく後悔(ローゼズ一本絞りは後悔していないけどね)。 Cookie Scene


2. CALEXICO『Algiers』このアルバムに収録されている「Splitter」は、僕が2012年にいちばん数多く聴いた曲。このアルバムでのキャレキシコは、今までの砂ぼこりが舞い上がるようなイメージから離れて、ジャケットが象徴するように“海/波”を連想させる。それはとても新鮮で力強い。今、いちばんライヴが観たいバンド。 Cookie Scene


1. NENEH CHERRY AND THE THING『The Cherry Thing』ネナ・チェリーと北欧(ノルウェースウェーデン)出身のフリー・ジャズ・ユニット、ザ・シングによるコラボ/カヴァー・アルバム。スーサイドやストゥージズからマッドヴィリアン、マルティナ・トップリー・バードまでを網羅するセンス。そして、オルタナティヴ・ロックフリー・ジャズを混ぜ合わせるという、ある意味で強引なパワー・プレイ。けれども、生まれ変わった曲を聴くと「やったもん勝ち」とは言い切れない繊細さと不穏さを兼ね合わせているところが素晴らしいと思う。その後にリリースされたリミックス・アルバム『The Cherry Thing Remixes』にはフォー・テットやジム・オルークリンドストローム&プリンス・トーマスなどが参加。時代も国境も、クラブもライヴハウスも、音楽ジャンルも関係ないんだな。本当に最高!
僕はクッキーシーンに“オルタナ”的な側面からレヴューを書きました。そして、ジャズを中心に様々な音楽を幅広く紹介する音楽サイト「com-post」の注目作クロスレヴューでも取り上げられています。こんなふうに様々な解釈/聴き方をされることが狙いなのかも。アルバムを手に取って、レヴューを読み比べてもらえたら良いなと思います。