2011年 映画館で見た映画ベスト10


2011年は言うまでもなく、3月の大震災と原発事故が大きな影を落とす一年だった。震災直後は音楽に耳を傾けることもままならず、本を開くこともためらう日々が続いた。
それでも僕はゆっくりと時間をかけて、音楽、本、そして映画を取り戻すことができた。目にすること、耳にすることが、以前とは変わってしまったけれど。「映画」という2時間くらいの体験は、現実逃避かな? いや、簡単に逃避できる現実なんて“もう”ないのかもしれない。
そんな思いの中で、バンクシーの『イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ』は、現実と虚構の狭間をあいまいにする素晴らしい映画だった。ドキュメンタリーという手法さえも疑わしいね! しかも笑えた。
「笑えること」。それは、いま僕がいちばん大事だと思うこと。
今年、映画館で見た映画のベスト10を選びました。よろしくです!


1位:『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

ストリート・アートの王様こと、バンクシーによる初監督作品。とにかく、ハッとさせられることが満載の素晴らしい1本。クッキーシーンにレビューも書かせていただきました。読んでくださいね。『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』映画(パルコ / アップリンク) - COOKIE SCENE


2位:『海炭市叙景

普段、日本映画をほとんど見ない僕もこの映画にはグッときた。詳しくはこのブログ内にも書きました。2010年末の公開だけど、僕が見たのは今年の2月。だからランク・インということで。原作は佐藤泰志さんの短編小説集。音楽はジム・オルーク「海炭市叙景」を見て。 - Under Neon Loneliness.


3位:『ツリー・オブ・ライフ

2011年最大のとんちんかん映画(褒め言葉)。テレンス・マリック先生ありがとう! さすが、元祖Mr.マリックです。ショーン・ペンの抑え過ぎ演技と最近、オヤジ役がすっかり板に付いたブラピが最高。壮大なインストゥルメンタルを延々と聴かされているような感じ。寝ちゃう人続出だとか(笑) 個人的には恐竜が出てくるところで歓声を上げました。あと、「Hit Me!」ね。


4位:『ブラック・スワン

バレエ団の監督トマス(ヴァンサン・カッセル)が主人公のニナ(ナタリーちゃん)に「おめえは色気ないからよぉ、家帰って、アレしてこうしろ!」→ニナ、言われたとおりにアレして→そこに…。僕、絶叫しました。ウィノナ・ライダーのまさに『リアリティ・バイツ』な感じも最強すぎた。必見!


5位:『ミッション:8ミニッツ

あまり期待しないで見に行ったけれども、本当に素晴らしかった。時間と空間は無限? それを密室劇として描くなんて、やるじゃんダンカン、この野郎! ダンカン・ジョーンズ監督はデヴィッド・ボウイの息子とは思えないルックスだけどね。舞台で再現したら面白そうです。何度も繰り返される8分間をナマ演技で見てみたい。


6位:『アップサイド・ダウン クリエイションレコーズ・ストーリー』

この映画を見たあと、僕はビーディ・アイの単独公演に行きました。最高でしょ! その数日後、クッキーシーン主催の「クリエイション・ナイト」というイベントでアラン・マッギーさんにもお会いできました。今年の素敵な思い出のひとつです。ジーザス&メリー・チェイン、プライマル・スクリーム、ライド、マイブラティーンエイジ・ファンクラブスーパー・ファーリー・アニマルズ、そしてオアシスなどなど…。音楽シーンを牽引した名バンドたちを輩出してきたレーベルの栄枯盛衰に涙。ボーンヘッドが金持ちそうで笑えた。


7位:『猿の惑星:創世記

猿のシーザー様と名優ジョン・リスゴーの共演というだけでも必見です。僕はオリジナル版はもちろん、ティム・バートン版も好き(バートン版では、熱演のチンパンくんがぶっ飛ばされるシーンで号泣しました。結末は忘れましたが)。いつの日か、うちの愛犬ゴローにも反旗を翻される日が来るかもしれません。NO!


8位:『マネーボール

数年前に出版されていた文庫版を読んでました。後書きで「ブラピが映画化権を獲得」って書いてあって、ようやくですね。原作とは違う(映画ならではの)脚色がうまく活かされていたけれど、そこも含めた後半がちょっと冗長かなと。見所はフィリップ・シーモア・ホフマン&ジョナ・ヒルという新旧デブ専俳優の夢の共演。あと、ビリー・ビーン(ブラピ)のオフィスにクラッシュのポスターとジョー・ストラマーのポートレイトが飾ってあったこと! 見逃すな! 「ブラピ好きの女子と野球好きの男子が見に行って、困っちゃう映画No.1」でしょう。


9位:『トゥルー・グリット

2011年公開のコーエン兄弟作品その2。69年公開『大いなる追跡』という西部劇のリメイクということもあって、僕が見に行った映画館は年齢層がかなり高めでビビりました。ジェフ・ブリッジスのうす汚れたステテコ姿は、筋金入りの西部劇ファンの目にどう映ったのでしょうか? コーエン兄弟らしさは薄めでしたが、主人公の女の子の演技、壮大な夜空に瞬く幾億の星、西部の乾いた空気感が素敵でした。そして、原作に忠実なエンディングには僕も納得です。


10位:『シリアスマン

2011年公開のコーエン兄弟作品その1。ユダヤ教ユダヤ社会)のあれこれ、ということで理解するのが難しいかな?とも思えるけれど…。いろんなことがいっぺんに起こって、最後の最後に最大の災厄が起こるというストーリーは、今の日本じゃ皮肉にもならない。「信仰」さえも揺るがす天変地異、または偶然。地震が起こるちょうど1週間前の金曜日に見ました。


次点:『スーパー8』
80s風味とエンドロールは素敵でしたが、印象が薄いのはなんでかな?どんな怪獣だったっけ?という感じです。残念賞。


ぶっちぎりワースト1位『ハングオーバー!!』
前作はまあまあ笑えたので、ちょっと楽しみにしていたのに…。最悪だった。タイの文化や宗教、人々さえも馬鹿にする感覚が理解できない。あと、大ケガって笑えますか? 僕はまったく笑えなかった。「史上最悪の二日酔い」どころか「史上最悪のコメディ」。くたばれ!以上。