ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』
新しいメガネで最初に読み終えたのはミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』でした。感動した! 本を読んで泣いたのは、本当に久しぶり。
のちに『The Future』として結実する映画の脚本に行き詰まった作者が「ペニーセーバー」という〝売ります/買います系〟のフリーペーパーに出品している人たちに会いに行くインタビュー集。
そのひとつひとつが今のアメリカを描き出す。それは海の向こうの話ではなくて、僕たちの生活とも重なり合う。どのエピソードも「心が暖まった」り、「ほっこり」なんてしないのがリアルだ。
半ば現実逃避のためにとったはずの行動が、息苦しいほどの現実を突きつけてくるというパラドックス。それが痛くて、どこか可笑しい。
そして、サブ・ストーリーとして描かれるのは脚本づくりの苦悩と徐々に見えてくる突破口。偶然なのか、必然なのか最後に用意されていた出会いは想像以上だった。そう、まるで人生そのもののように。
インタビュー集としても、私小説としても読める濃密なドキュメントでした。完全にスルーしてた映画『The Future』も観てみようかな。
- 作者: ミランダジュライ,Miranda July,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/08/27
- メディア: 単行本
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