ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス


ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』を観た! BVSCとしての初ライヴ前のリハで「それはオレのGじゃねぇ、お前が合わせろ!」と一歩もゆずらないコンパイ・セグンド爺の一点張りにみんな大爆笑! けれども、そのタフさが実はキューバの歴史に翻弄されてきた彼をはじめとするミュージシャンたちのスピリットそのものだと気づかされて胸が熱くなる。


そして女性ヴォーカリスト、オマーラは「こんな苦悩の歌をどうしてみんな楽しめるの?」と問いかける。キューバのソンは、ブルースやレゲエと同じように困難な毎日を生き抜くために生まれた音楽だからだ。陽気なリズム、楽しげなハーモニーはまず自分たちのためにあったのだということ。アメリカとの政治的な胡散臭さの中でも、〝音楽の力〟だけで世界に受け入れられたことを素直によろこび、受け入れる懐の深さが何よりも感動的。


日常を生きるということ、歳をとるということ、それでも好きなことを続けるということ。その一方では続けられない現実もあるということ…自分にたぐり寄せてみれば、BVSCが残してくれた音楽は今まで以上の深みを持って響くのです。